「秋の夜長の台所にて」
30 10月 2012, by in ・北の暮らし
秋の夜長の台所にて。
80粒ほどの、大きくて立派な栗。渋皮を傷つけずに、やさしくペティナイフで鬼皮をむいて、煮くずれないように何度も何度も煮ながら、一粒一粒を手のひらの中でゆっくりと丁寧に転がしてゆく。爪が当たって渋皮がむけてしまわぬよう、気をつけながら転がしてみる…
いつしか夜更けに、甘いおやつへと変わってゆくこの栗は、冬の日のティータイムにちょっとした潤いをあたえてくれる。80粒の幸せ。
石井妙子さんの本「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」のどこかの章に、こんな言葉があった。
「……やはり親切心がたりないのと、食べ物に愛情をかんじていないせいだとおもう。」
‘そうね、そう言われてみれば、食べ物には愛情と親切心が欠かせないモノなのかもしれないわね。’
そんなコトもゆっくりと思う、秋の夜長の台所より。